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ひとつよが

Fuggerei フッガーライ

最古の現役の福祉住宅 フッガーライ


バイエルン州の第三の都市アウグスブルグ。

ミュンヘンから北西に車で一時間ほど。


1521年に豪商ヤコブ・フッガーによって作られた

低所得者のための集合住宅があります。





一年間の家賃は、現在の価格に換算して、0.88ユーロ。


入居の条件は、

アウグスブルク市民または関わりのある人、

カトリック信者、

そして一日3回フッガー家に祈りを捧げること。


今現在の条件もそのまま。

家賃もそのまま。 一年0.88ユーロ。

単なる住居の供給ではなく、自活するための社会住宅であることが、模範的な援助として高く評価されています。現在もフッガー家の三つの家系により管理・運営されています。




教会や城壁、城門もあり、かつては学校や病棟もあったり。

また水道などのインフラはここに居住していた水道職人によって整え管理され、

住宅というより、ひとつの小さな町のような共同体の役割を果たしていたのです。

建造物が魅力的なのはもとより、細部へのこだわりも見て取れます。 呼び鈴についた引き鍵の先端のデザインが一件一件違っているのは

街灯のなかった当時、日が落ちて暗くなっても

自分の家の玄関を間違えないようにとの配慮。


なんとも実用的でありながら創造的なんでしょう!


暮らしそのものを楽しめる何気ない工夫がアートを生み出しています。


芸術は生活に必要だと、なくてはならないものだと、

今回のコロナ危機に際して訴えていたメルケル首相の言葉を思い出しました。

当時ののまま残されている住宅も博物館として公開されていました。





漆喰の壁、素朴なキッチン、寝室や居間、小さなのぞき窓。

使いこまれた艶のでた木製の家具。


出来ればここに住んでみたいくらいの魅力的な住宅。






庭も手入れも行き届き、爽やかな初夏の花々が咲き、

サクランボの実は心地よさそうに風に揺られてしました。



そして、なんとモーツァルトの曾祖父フランツ・モーツゥアルトが1681-1694年にここで暮らし、そして亡くなったそうです。銘板が壁に取り付けられていました。



今現在住んでいる150人の住人のポートレートの展示。



ひとりひとりの個性が伝わってくる写真。

新しい住人もいれば、きっと代々住まわれている方もいらしゃるのかもしれない。

若い方も年配の方もわんこもにゃんこも。

単身の方も家族で住んでいる方も。

それぞれの暮らしがここにある。


社会福祉住宅と同時に観光場所として公開しつつも、静けさがあり、そして秩序と規律が守られている。そこに住まう人も、訪れる人も、穏やかにに共存できている空間。

ヤコブ・フッガーが創った500年前のこの古い共同住宅の在り方は、もしかしたら今現在学ぶことがとても多いような気がしました。



今の時代の生き方、住まい方、または格差社会へ対応する社会システムや町作りにとても役立つのではないかなと。

フッガーライの小さな住宅街の小路を吹き抜ける心地よい風と、初夏の暖かな陽光に癒されながら、少し真面目なことを考えさせられました。


フッガーライのホームページ




 


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