2019年の10月半ば過ぎ。
上海駐在もおそらく年内いっぱいになりそうだなぁという頃。
ドイツへの異動になったら行きにくくなりそうな場所は・・と考えた。
ふむ。ヨガと言えばインドだよなぁ。
インドは前職時代に出張で行ったきり。
(ニューデリ、アグラ、ムンバイ)
そう言えばヨガを始めてからは行ってないなぁ。
ちょっと気になっているインド・リトリートもある。
ところが、なんだか連絡がスムーズにいかない。
同時に、自分の内側で、今、本当にインドに行きたいのか?
インドで何したいの?
ヨガ?
上海のスタジオでもインド人の先生に教わっているのに?
そんな質疑応答が内側から聞こえてくる。
なんか違うな。
今私が行くところはインドじゃないな、と。
そんな時に視界に飛び込んできた一冊の本。
特別に大切に感じる本は読み終えた後も近くに置いてある。
対話形式で構成されているこの本の著者の一人である山尾三省さん。
詩人でもある山尾さんが、インドやネパールの巡礼の旅をした後、
最終的に移住し暮らしたのが屋久島(山尾三省さんは2001年に63歳で逝去)。
屋久島!
行くべきところから語り掛けられ、呼ばれているような気になる。
勝手な思い込み & こじつけ かもしれないけれどそんなことはどうでもいい。
今、行くべきところは屋久島!
2019年11月20日~23日
屋久島三泊ひとり旅
屋久島と言えばもちろん縄文杉トレッキング。
往復10時間のコース。
ひとり歩きはさすがに不安。
フライト+宿+トレッキングを組み合わせたツアーを探す。
上海からは、鹿児島や福岡へ飛んだ方が距離的にはかなり近い(一時間くらい)けれど
東京への立ち寄りを考慮した結果、羽田発の屋久島ツアーに。
深夜01:45 上海発 → 05:30 羽田着
午後 羽田発 → 夕方 鹿児島着
ここまではスムーズ。
鹿児島上空からの桜島。
鹿児島発 → 屋久島16:45着の予定が・・・
鹿児島空港で遅延発生。
それも屋久島行きの最終便。
飛ばなかったら早朝スタートの明日の縄文杉トレッキングは諦めるしかないのか?
不安がよぎったけれど、どうにか当日中に屋久島空港に到着。
すっかり日も沈み、島の景色も様子も暗闇の中。
村の夜は早い。
今日の町散策は中止。
トレッキングのツアー会社から
ホテルについたら連絡するようにとのメッセージを受け取る。
早速電話をして明日の確認。
出発時刻、
ガイドさんのお名前、
6人グループということ。
そして最後に・・・。
『皆さん、お若い方ばかりですよ。』
と 言われるwww。
そうかーーーそうかーーー。
時々忘れるけれど、自分の年齢。
そうだよねーーー。
『はい、ご迷惑かけないようがんばります』と。
(ちなみに。
ツアー会社によっては年齢制限を設けているところもありました。
個人ツアーではなく、グループの場合、ある程度そういう制限も必要ですよね。
縄文杉トレッキングは早朝スタートで一日がかり往復10時間前後。
それなりのペースで歩かないと日没前に戻ってこれない。)
明日の集合は早朝4時。
今日は上海深夜発でほとんど寝ていない。
大浴場で身体を暖め準備を整えたら早めに就寝。
翌日。
早朝4時にガイドの田中さんがホテルまでお出迎え。
続いて残りの5人をそれぞれの宿泊先でピックアップ。
大学生のカップル、20代女性2人組、20代らしき社会人男性一人。
(皆さん、確かにお若い! ツアー会社の方が50代女子一人参加の私を心配するはずだ。)
田中さんの車で登山口行きのバス乗り場まで行き、
そこから更に登山バスに乗りかえ30分ほどで荒川登山口に到着。
登山開始時刻は午前5:55。
ホテルをでて既に2時間。
にもかかわらず11月半ば過ぎの早朝の空はまだまだ宵闇。
初めて使うヘッドライトをつけてトロッコ道を歩き始めます。
トンネルも抜けひたすら暗闇の中をただただ歩く。
いくつか超える橋には手すりのない橋がある。
今回のトレッキングの中でこれが何より一番辛かった(怖かった)!
もちろん写真なんてとる余裕すらなく心底ガクブル。
どうしたって歩く速度が落ちる。
谷底の岩が視界に入らないように
ひたすら線路の枕木だけを見続けてどうにか渡り切る。
それなのに、ガイドさんも若者たちの足取りなにも変わらない・・・。
みんなは平気な様子でした。
そんなものなのか?
少しづつ空が白んできて周りの様子が見えるようになってきたのは6時半過ぎくらい。
手すりのある橋は、なんとか渡りながら写真も取れたけれど、気持ちはぎりぎり。
のため、ぶれぶれ。
小杉谷小中学跡。
木材運搬用の鉄道が敷かれたのは1923年。
屋久杉は当時、年貢として納めれていたこと。
最盛期には540人は住む集落となり
郵便局、商店、小・中学校もあったと。
その後、伐採事業は縮小化され閉鎖される。
当時の食料庫。
ここに集落があり人々の営みや暮らしがあった確かな痕跡。
ひたすらトロッコ道が続くなか折々に小休憩を挟んで
ガイドの田中さんが屋久杉のことをいろいろ教えてくださる。
樹齢千年以上の杉を「屋久杉」、
千年に満たないものを「小杉」、
植林した杉を「地杉」。
花崗岩の島である屋久島に育つ屋久杉は樹脂が多く腐りにくい。
倒木の破片の臭いをかぐと枯れ木とは思えないような
森の香り、フィトンチッドが芳しい。
メモしたかったくらい
いろいろ教わったけれど
備え付け極小メモリーは容量オーバー。
再び歩き始める。
ひたすらトロッコの線路の上を歩く。
縄文杉トレッキングの半分はこのトロッコ道。
ほぼ登山口から約5km。
この先半分が本格的な山道に。
岩や根っこが入り乱れていい感じ。
修学旅行で来ている高校生たちの小さなグループが
元気な挨拶とともにあっという間に追い越していく。
次から次へと、さっくさっく、ぴょんぴょんぴょーん。
当たり前だけど、若いって、やっぱりそれだけで身軽だ。
脚運びが見事に全然違う。
山登り、と言うより、あの子たちは飛び跳ねるように駆け抜けていく。
それにしてもみんなの挨拶、爽やかだったー。
ガイドの田中さんはまるで植物博士のよう。
屋久杉の話はもちろんのこと
姫沙羅の見事な木肌のこと
初夏に咲く白い花の美しさのこと。
でも、田中さん。説明のあと、ひとことぽつり。
昨日は修学旅行生の付き添いガイドだったけれど
だれも話を聞いてくれなかったんだよーーと言って、苦笑い。
なんか、解るなーー。
子供の頃って、木とか花とか、それどころじゃなかった。
愉しいことが違う次元にあった。
今の私は聞いているだけで、心の底からわくわくしてきますよー。
歳を重ねるにつれ少しだけ
それまで見えなかったものが見えるようになってくる。
(そして、見えていたものは老眼鏡なくしては見えなくなるwww。)
誰にも気づかれないところに咲く花。
岩に陰にひしめくようにむす苔。
朽ちた倒木に逞しく芽吹く命。
一刻一刻と色を変えていく自然の姿に
気づいて感銘できるようになっていく。
神秘的な静寂を保ち
逞しくもしたたかに生きる自然
その森と呼ばれるひとつの宇宙の中に
共存を許されながら
自分自身がこの山道を歩けていることに
何度も何度も感動してしまう。
気が付けばウィルソン株。
切り取られた空の形はハート。
株の中の空洞に小さな祠。
こういう自然を尊ぶ人間のの気持ちの表れは心がほっとする。
縄文杉の少し前でお昼休憩。
田中さんが持ってきてくれた熱いお湯でお味噌汁を作ってくれる。
11月の山の中で頂く熱いお味噌汁の塩気が
歩き疲れた体を癒してくれる。
宿が用意してくれたおにぎりは
ちょっと大きすぎて食べきれなかったけれど。
初冬の山の風に身体が冷え切らないうちに出発。
さぁ、もうひと踏ん張り。
ほどなくすると最終地点の縄文杉に到着。
縄文杉はこの歪な形だからこそ生きながらえているという。
真っ直ぐな杉の木は良い木材としてどんどん伐採されていった。
枝や節が多く曲がっている木は使い物にならず伐採されなかった。
そうして選ばれなかった歪な大樹は永い永い時間をなおも生き続け
皮肉にも、今や人々が目指す標となり
『縄文杉』という名を得て、
会いに来る人々を迎え待つ。
歪で曲がって節だらけのまま。
縄文杉そのものはただそこに在る。
何も語らず。
時おり吹く風に遠い先端の枝葉を
まるでその存在を思い出したように揺らす。
その枝葉さえも自らのものなのか
あるいは寄生した生命体のものなのか。
『聖老人』と山尾三省さんは呼んだ。
まさしく『聖老人』だった。
大きな鼻と
彫の深いくぼんだ目の翁だった。
乾いてこけた頬にその齢を刻み
ただ黙ってそこに在った。
根を張り
枝を広げ
必要としている別の命に身を貸し
言葉を持たないものの声を聞いている。
何も語らず
ただそこに在った。
帰路は思いのほか速い足取りに。
道から少し外れた安房川の河原で最後の休憩。
山ガールな仲良し女子ふたり。
小雨がぱらつき始めた頃に
予定時刻より一時間ほど早く登山口に到着。
16時前。
朝は暗闇で全く見えなかった山の姿は紅葉していいました。
明日はもののけの谷、白谷雲水狭。
今日の参加メンバーに聞いたら
一人男子を除いて
みんな申し込んでないらしい。
すでに足がパンパンだからと・・・。
天気も微妙だしと・・・。
そうなのか?
連日は無茶なのか?
それも50代女子!
行けるのか?!
明日の天気は大雨。
どうやら台風らしい。
大丈夫なのか?
大丈夫なのか?
つづく。
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